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てせらすまとめ

2013-08-11

デンデロ

18:46

 「おはよう」

 次に聞こえて来たのは規則正しい電子音。自身の心拍数を知らせるものだったと思う。

 自分はいつの間にこんな状況になっていたのだろう。記憶にない。

 「というわけで、君の名前は、セリオンだ。」

 何言ってるんだこいつ、僕にはちゃんとした名前があるんだぞ…。

 僕の名前は、名前は…。

 「何も反応もないか。無理もない。まだ手術が終わって1時間も経っていないしな。」

 自分の名前を頭の色々な場所から探していたのだけれども、見つからない。

 混乱。

 自分の名前を解らない人間なんていない筈だ。でも、思い出せない。喉元まで出ている感覚すらない。

 どうなってしまったんだ。


 「いいかい?あと少し、……続く。そして……急に…熱い……。」

 言葉は聞こえて来るけれども、今は自分で精一杯だ。

 一体自分はどうなってしまったんだと。

 意識ははっきりしているのに身体は動かない。顔も動かせない。

 「……死ぬなよ。ここまで来たんだから。」

 死ぬ…?死ぬのかね。良く分からない。

 とても重要な事を言ってたような気がするが…何もできない今、それを再び聞ける機会は失われてしまった。

 「健闘を祈る、セレクテッド



 ぼやけた目から白衣を着た背の小さい男が遠ざかっていった。

 セレクテッド…?聞き覚えのない単語。

 セレクテッド、自分、動けない、何も感じない。


 …寝た方がいいのかもしれない。

2013-06-29

日常

20:52

 最近、カーの調子が悪い。

 とりあえず、彼女を外に連れ出したらどうです?

 いきなりざっくり解決策を出してきたな。


 正直、それが一番効果的だと思いますよ(嘘だけど)


 嘘なのかよ。

 括弧内読むなよいつも鈍い癖に。


 鈍い?俺はよくわからないけど。

 とにかく、カーを外に連れ出すといいと思いますよ。

 何故かよくわからんが…。まぁとりあえず、それは正しい気がする。




 そして、何故このような髪形になるんでしょう?

 カワイイじゃないですか

 本当ですか?私はこの辺、全く分からないんですが

 カー、女は形ですよ。あんななりですけど、マスターは女それ自体がダメなわけではありません。要はプロセスです。プロセス

 は、はぁ…

 こんなもので、マスターが喜ぶんですか?私には全くわかりません

 男っていうのはあなたが思う以上に単純なんですよ」

 よくわかりませんが、とりあえずこうしてみましょうか。

ガールズトーク

13:38

 マスターと同じトレーニングをすると、ダメな筋肉がついてくるから嫌なんですよね。ボクは可愛くなりたいのに。

 言ってる意味がわかりません。シャル。

 えー、強いけど美しいままでいたいこの乙女心というのがわからないのですか?カーは。

 あなたは乙女じゃありませんよ。

 そんなんだからモテないんですよ。

 私の存在意義はそこにはありませんので…、っというよりシャルもそうでしょう?

 …任務に縛られるだけの人生なんて楽しくないでしょう?女は欲張りに生きなきゃ♪

 任務が疎かになったら台無しです。私は、それほど強くはないので。

 そりゃマスターにはとっても弱いしn…わ、やめやめ悪かった悪かったって、いやそこで【硬化】で殴ってくるのやめて、むしろ顔だけはやめて死んじゃう死んじゃう。

 アーティファクトでぇ、いぃくぅらでもぉー整形でぇきるでしょぉおおおおおおお!

2013-01-07

次男1

20:08

 とある僭主が治める内陸国。いつもの3人は終わる事のない上下山道を歩いている。

 いつもの通り、盗賊に襲われるうら若き乙女が絶唱する。

 「ああ、旅の人、私をこの暴漢から救ってください」


 シャル「まぁどう見てもクラサルの人間だし」

 カー「職制的にここで助けるのは難しいですね。彼女を助けるともっと沢山の血が流れる」

 セラ「一番嫌いな女だ」


 ああ哀れ、うら若き女子は彼らの目の前で身ぐるみを剥がされ、犯され、殺される。

 「ぎゃー人殺しー」


 見慣れたバッドエンドを横目に一言

 セラ「さて、こいつら殺すか」


 

 エフェメル「というわけで、今回の任務は最近我が国の治安を脅かすクラサルの人間を根絶やしにする事です。ね?簡単でしょ?」

 シャル「非常に複雑な情勢を物凄く単純な論理で解決しようとしていますね。調停だから仕方がないのですが」

 調停人は超法規的な権力を与えられるものの、自治に干渉はできぬ。彼らは国を治める立場ではなくあくまで調停する立場なのだ。


 セラ「そいつらをぶち殺せば解決、という話だろうが経験上、それは貴公の首を絞める事になる。それでもよろしいか?」

 エフェメル「知ってるお。」


 セラ「そうか」


 というわけで、宗教狩りを行うセラとツインシー。

2013-01-03

ある日の夜

00:00

 同じ言語を話す人間、虫ケラであるのには違いがないのだが、こうまで踏みつけ続けていると時折良くない気分になる

 珍しいですね?どんな状態でも無双できればいいという単細胞かと思ってましたよ。

 まぁ俺も感情を持つ事はある。


 あなたは感情だらけでしょう。少し抑えなさい。

 まぁな。



 あれ?ちょっとしおらしい。



 自分に立ち向かってくる。それを撃破する。単純でいいんだが、時折奴らは何をもって自分に向かってくるのか?と思う時がある。



 …考えてないのかと思いましたよ。


 お前、ちょっと俺を過小評価し過ぎだろう…。


 いえいえ、そんな事はないですよ。



 おいてめぇ。


 はいはい。悪かったですよ。やりたいのは喧嘩じゃないでしょう。





 まぁ、思う事はありますよ。


 自分には持たざる者の悲惨さというのはわからない。

 彼らは悲惨になるべくして現在の境遇となっている。


 ただ、なるべくしてなっているのと、それを受け入れられるかは別問題です。


 よく…わかんねぇな。


 私にもわかりませんね…。そうなったことがないんで。






 どちらにしろ、俺の生存を脅かすものは潰すしかない。

 潰すしかないんだが…ちと、多すぎるんだよな。




 調停人の仕事なんですよ。それも。


 殺すのも、仕事です。




 …正しいのかね?それ?


 ……さぁ?歴史が決めてくれるんじゃないです?

言語革命、前夜

23:43

 物語は作れる。

 そして、それは多くの人の求める物であればある程良い。


 センサリー

 これまで特別な人間にしか持つことを許されていない先天の「才能」と思われていた物が修練によって誰でも習得できる。

 その衝撃的な物語が生まれ得たのは、それを持つ者と持たざる者の絶望的な人生の格差があったからでもある。

 その物語は、実は「持つ者」により作られた物であるが多くの「持たざる者」に希望を与える者であった。


 目の前に存在する圧倒的な不平等は覆せる。


 それは内実「悲惨な境遇の者は努力が足りない故になるべくしてなっている」という物語への布石であったのだが、奇妙な事にその物語は悲惨な境遇の者にもっとも支持されたのである。


 自分には他の有象無象よりも優れたセンサリーを習得できるかもしれない。その夢は、カルトとなり、宗教になる。

 その教祖は、センサリーの習得を餌に入信を求め、その習得の為の改造という名目で双方合意の人体実験を行う。




 主に改造の対象となるのは子供たちである。

 悲惨な境遇の者が自分自身を変える事に対して非常に怠慢で臆病なのだ。故にその対象はまず、自分の息子、娘という事になる。

 多くの子供はその実験の過程で消えていった、が、一部はそれに耐え、人間とも機械ともセンサリー持ちともつかぬような異形の何かに変わる。成功者はその異形を持って、教団の兵力となり、信者の偶像となるのだ。

 偶像は増え続け、力は日に日に強大となり、その矛先は自然、「持つ者」へと向く事になった。

 




 そして世界は残酷である。

 選ばれた子供たちは、調停人の3人に呆気なく、そして例外なく蹂躙されている


 外殻的調停人、セレスモーセフォル、そしてツインシー。この世界でもほぼ類を見ない強力なセンサリーを持つ3人を手こずらせる子供達は一人も現れてはいない。

 正義と悪の戦いにすらならず、一方的な虐殺で。彼らは王国の側から見れば正義の使者、信者の側から見れば悪魔もしくは打倒すべき巨悪となっている。




 「持つ者」によって作られ、「持たざる者」によって支持された物語は暴走し、また二つの物語を作り出した。

 「言語革命」、前夜。そんなとある日の話。

2012-03-04

力のない私と、欲望のあるわたし。

23:34

 いつも誰かの役に立ちたいって思ってきた。

 でも、私は体が弱くて、その上、頭も良くなかった。

 何もできないで、世間からは鼻つまみものとして扱われていた。

 パパは私の体の弱さを克服させる為なのか、自分に武道を習わせた。

 鍛錬によって娘の体を鍛えれば弱さなんてすぐに克服できる。


 何度も死にかけて、その度に周りの男の子に助けられていた。彼らは私が努力ではどうにもできない程に、大きなハンディキャップを抱えているという事を幼心にわかっていたのだろう。

 そのうち、彼らと口裏を合わせて、上手く練習から逃れる方法も覚えていった。上手く男の子に依存する方法もその時に覚えていった。


 パパを騙しているという後ろめたさはいつもあったけれども、パパの望む子供になるには、私は弱すぎたんだと思う。


 男の子はいつもわんぱくで粗野だけど、私には優しかった。逆に女の子は、何故か私に冷たかった。弱い振りして、男にいつも媚びを売ってるアバズレという専らの評判だったという。

 どちらかというと男の子の方が私と話が合うので、自然、恰好も彼らと同じようなものを着るようになった。世間では異質なものに見られていたようだけど、パパは娘が順調に健康になっているように見えて満足していたらしい。体の弱さは相変わらずだったんだけど。


 年月が過ぎて、男の子の私を見る目が少しづつ変わっていって、それでも私は彼らと一緒に人生の大半を過ごした。

 多分、私と彼らは根本的に違うという事を見て見ぬ振りをしていたのだ。