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てせらすまとめ

2013-08-11

デンデロ

18:46

 「おはよう」

 次に聞こえて来たのは規則正しい電子音。自身の心拍数を知らせるものだったと思う。

 自分はいつの間にこんな状況になっていたのだろう。記憶にない。

 「というわけで、君の名前は、セリオンだ。」

 何言ってるんだこいつ、僕にはちゃんとした名前があるんだぞ…。

 僕の名前は、名前は…。

 「何も反応もないか。無理もない。まだ手術が終わって1時間も経っていないしな。」

 自分の名前を頭の色々な場所から探していたのだけれども、見つからない。

 混乱。

 自分の名前を解らない人間なんていない筈だ。でも、思い出せない。喉元まで出ている感覚すらない。

 どうなってしまったんだ。


 「いいかい?あと少し、……続く。そして……急に…熱い……。」

 言葉は聞こえて来るけれども、今は自分で精一杯だ。

 一体自分はどうなってしまったんだと。

 意識ははっきりしているのに身体は動かない。顔も動かせない。

 「……死ぬなよ。ここまで来たんだから。」

 死ぬ…?死ぬのかね。良く分からない。

 とても重要な事を言ってたような気がするが…何もできない今、それを再び聞ける機会は失われてしまった。

 「健闘を祈る、セレクテッド



 ぼやけた目から白衣を着た背の小さい男が遠ざかっていった。

 セレクテッド…?聞き覚えのない単語。

 セレクテッド、自分、動けない、何も感じない。


 …寝た方がいいのかもしれない。